夕方、家の門を閉めていたところに。
制服を着た高校生のカップルが、小さな犬を
連れてこちらに向かって歩いていた。
散歩中のようだ。
2人は腕を組んでいた。
近くの子かな?幼なじみなのかな?
私はその姿を、まじまじ見るでもなく、視界の右上の方で捉えていた。
門を閉め終えるころ、その2人と1匹は、私の目の前を通り過ぎるあたりだった。
2人は腕を組んではいなかった。
…わかるよ。
きっと、その腕は、反射神経的に離れたのだろう。
2人が通り過ぎた後ろ姿を、私はまじまじと
見ていた。
組むよね。絶対、組むよね。
腕、組むよね?
通り過ぎて、10メートルほど行ったところで、2人は、とても自然に腕を組んだ。